夢に向かって学ぶ専門学校生×文部科学省職員の意見交換会
訪問日:2020年12月某日
<学生自己紹介>
伊藤さん
東京テクニカルカレッジ2年生。WEBサイトを作る知識だけでなく、動画の編集技術、購買意欲につなげるコンテンツ設計等を学んでいる。
コロナで中止になった、吉祥寺ハロウィンフェスタのリモート開催について紹介。吉祥寺にある店舗紹介動画を作成しYoutubeで公開。ハロウィン当日はZOOMをつないでイベントを実施した。動画はほぼ全て学生が編集した。
阿部さん
日本電子専門学校コンピューターグラフィックス科2年生。CGを学んでいる。ゲーム系・映像系と分かれており映像系に所属。紹介したポートフォリオは制作時間40時間だったが、制作は資料集めから行うため、慣れない1年生の時はもっと時間がかかっていた。CGは商品PRなどに使われる。
制作する上で難しいところのは、基礎知識が求められるところ。例えばキャラクターを作る際、人体の構造を学んでいないと難しい。デッサンなども必要。
安斎さん
新宿医療専門学校歯科衛生士学科1年生。他に柔道整復師、鍼灸師学科がある。1日2コマ90分授業なので自分の時間が作りやすいのが魅力。設備も綺麗で、学校内での実習もやりやすい点が入学の決め手となった。
1年生は学内でマネキンを使い実習。その後学生同士、病院とステップアップする。友達と協力しながら取り組めているので楽しい。
<文部科学省職員自己紹介>
※全員 専修学校教育振興室 に所属。
桑代さん
文部科学省に勤めて4年目。関係団体で5,6年働き、その後転職。当部署に来て2年目。学校に対する補助金、コロナに関わる経済的支援関係を担当。
佐々木さん(専門官)
専修学校への財政支援を担当。足立さん桑代さんと共に、主に学生への給付金支援を担当している。4月に振興室に着任。どのような支援ができるかを日々考えて働いている。
金城さん(室長)
2002年入省。2011年度、12年度に奨学金を貸与している団体である日本学生機構に出向。去年9月から室長勤務。専修学校の魅力を広く伝えていきたいと考えている。
濱野さん
専門学校の設置基準の運用、コロナへの学校対応についてガイドラインを作成・提示している。オンライン授業の方法など動画を作成し、Youtubeで配信するなどの取り組みも企画。専修学校が進路選択の一つになればと思い働いている。
足立さん
入省7年目。文部科学省は2年周期で様々な省庁を経験するが、一番長かったのは文化庁。国際文化交流(特に日中韓)、著作権に関わる交渉等に3年程携わる。外国語教育推進室にて金城室長と3日間だけ一緒だったが、この4月から振興室にて再度一緒になった。
今年から高等教育修学支援新制度が始まったため、関連業務が多い。
<文科省職員の1日>
8:30 出勤。学校や都道府県からの問い合わせ対応。多い問い合わせは記録を残し次へつなげる。
12:00 ランチ休憩
13:00 MTG。学生への経済的支援の効果検証。データを集め分析する事業をしている。委託をしている事業者とオンラインMTG。その後資料作成。
21:00退庁
※9:30〜18:30が定時だが、コロナ関連の業務が多く、早く来て遅く帰ることもある。
<質疑応答>
佐々木さん>専門学校生
コロナ禍で6月頃まで登校できない状況だったが、苦労したこと戸惑ったことはあるか。
安斎:初めは全て自宅学習、一人で自宅でやるのは心細かった。わからないことを聞くことができず不安だった。登校できると決まった時、ようやく友達ができるとうれしかった。登校できるようになってからは先生とも距離が近く、相談しやすかったのでよかった。
今も授業は基本オンラインで、実習の時のみ登校。友人もできたため、わからないところは協力し合ってできている。
佐々木さん>専門学校生
コロナ禍で勉強を続けていくことの難しさはあったか。モチベーションをどのように保っていたか。
阿部:学校がなるべく対面授業で進めたい学校だったため、オンライン授業に切り替わるのが遅れ、休校状態が続いた。その結果就活で必要なポートフォリオの作成が遅れ、今も就職が決まらない学生が例年より多いなど影響が出ているように思う。登校できないがオンライン授業もない、という期間が長かったので先生に質問できない期間がもったいなかった。
伊藤:業界的にすぐオンライン授業に切り替えられた。実際にZOOMでのオンライン授業を経験し、通学する時間必要ないなと思った。Slackを用いることでむしろ質問しやすさを感じた。
大学はオンライン授業をやっている学校そうでない学校で学びの機会に差があると感じたので、そこは無くした方がいいと思う。これからもコロナ関係なく、授業はなるべくオンラインでやっていった方がいいと私は思う。日本はデジタル系が弱いと言われている(Wifiやリモート環境の整備など)ので、その点改善すべきと感じた。
安斎さん>文科省
文部科学省に就職するためにはどのような資格が必要ですか
濱野:資格は特に必要ない。国家公務員試験を受験し合格→省庁面接→内定の流れ。
一般的な教養、行政の素養を問われるが、門は多くの方に開かれている。年齢制限はある。桑代:文科省は関係機関から出向して転籍という方も一定数いる。私は新卒で独立行政法人という、文部科学省の外局の試験を受け働き始めた。転籍の際は、面接の後研修生という立場で入り、その後正式に採用された。専門学校を卒業し文科省で働いている職員もいる。
伊藤さん>文科省
大卒の方が優秀という固定観念があると思う。大卒の方が給料がいいのは、専門学生に欠けている部分があるからなのか。
金城:欠けている部分があるわけではない。専修学校では専門性だけでなく、人間性・協調性・コミュニケーションなど様々な力を養っているが、そこを社会が正しく認識していない実情がある。しっかりと企業・社会に発信していく必要があるし、文科省側もその点に着目し、発信したいと思っている。
佐々木:正直仕事に携わるまでは専門学校のことをわかっていない部分もあった。実際、学校では先生たちの努力もあり、とてもいい卒業生が輩出されている。専門学校の魅力が世の中に伝わっていないという感触はある。どのように発信できるか模索している。
金城:本日のような企画を通して、等身大の専門学校生を知っていただきたい。
阿部さん>文科省
コロナで学生支援金もらい、とても助けられた。自分のお金で生活費を賄っているが、今もアルバイトを減らされている状態で依然厳しい。支援金という形じゃなくても、他に支援の予定があれば教えて欲しい。
金城:緊急給付金は現時点では一度限りで、まだ支援が行き届いていない人に届けるための施策を実行している状態。家計の急変などで必要となった方に、学生支援機構貸与型奨学金の新規受付を提案するなど、届けられる支援について各学校にしっかり周知していきたい。その先は必要に応じて検討していく。
濱野さん>足立さん、桑代さん
緊急給付金を実際に受け取られた方とお話しするのは初めて。主立って施策を進めたメンバーとしてエピソードや思うことはありますか。
足立:給付金は専門・大学・短大・高校全ての学生を対象にしていたので、専修学校以外の担当とチームを作り、議論した。全容を2週間で取りまとめ、スピード勝負で届けることを優先した。そのため対応する側の学校には負担をかけてしまったという思いもあり、実際厳しい言葉も多かった。だがそれほど、学生に早く届けたいという思いがあった。直接感謝の意を伝えてくださり本当に報われる気持ち。
桑代:こちらの方こそ、この場で直接お礼を伝えてくださりありがとうございます。別事業として、オンライン授業に伴い学内の無線LAN環境を整える・学生に機材を貸与するための補助金も実施している。その補助金を生徒さんに還元できればと思うので、学校側が制度をうまく活用してもらえるといいなと思った。
<学生から文科省へ提案>
伊藤さん
進学先を決めるのに必要な情報を得ることに苦労した。文部科学省のWEBサイトも見たが、堅苦しさを感じた。SNSを有効活用する、WEBサイトのテイストを変えるなどして若者が情報をキャッチしやすくなるようにできるといいのではないか。安心して進路を決めていければと思う。
金城:広報について、コロナ関連でもリーフレットやチラシを作っていたが、高校生より先生向けだった。情報が若者に届かないことには課題意識を感じていた。学生に見てもらえるWEBサイト、SNSを活用したいと思う。高校生に訴求力の高いSNSは何か?
伊藤:Twitterだと思う。中学生はInstagram。Twitterはタイムライン上で情報が流れてくるので目に入りやすい。LINEは広告があっても見ないことが多い。
ただ載せるだけでも見ない。バズるとかすると認知してもらえる。
阿部さん
他の学校との交流がほぼなく、同じ分野でも他の学校を知らないことが多い。交流ができると作品を作る上でいい刺激になるのでは。オンライン上でも交流は可能だと思う。
金城:そのような学生同士が交流できるようなオンラインの場をを作っていきたいと考えている。使ってもらわないと意味がないので、様式を検討している。
伊藤:WEB製作会社だとコンテンツ設定からターゲットユーザーを決めて丁寧にやっているので、そのようなところを頼りにしてもいいのでは。
金城:本日のような形で専門学生の声を聞きながらも作っていきたい
濱野:普段の業務において学生の声を聞く機会があまりない。我々が中高生向けに何かしようとしても、つい大人目線になってしまう。TwitterやInstagramなどでターゲティングをし、届けたい人に政策や専門学校の魅力を届けたいと問題意識を持って取り組んでいる。
この会が始まるまでは、TwitterよりもInstagramやYoutubeの方がよく見られているのではと話していた。今後も実際に学生が何を見ているのか把握していく必要があると感じている。
板倉さん・文科省職員>専門学校生に質問
どんなハッシュタグで検索するとヒットするか。
伊藤:ハッシュタグはあまり関係ないかも。トレンドやおすすめを見てバズっている話題は目を引く。まずは文科省の堅苦しいイメージを変えていく必要があるのでは。
こんな人が動画に出てたら見るとかある?
安斎:人よりも内容。例えばTikTokで、不動産会社の社員が面白いことをしている動画がおすすめとして回ってくることもある。自社の社員を写して面白いことをする。
有名人を起用して動画を作ってもいいのではというアイデアがあるが、どのような人だと見るか
安斎:文科省=堅苦しいというイメージはあるので、面白いと思ってもらえるのが大切だと思う。
伊藤:堅苦しいイメージのある人が面白いことをやると興味を引ける。
阿部:マスコットキャラを活用するのはどうか。着ぐるみがキレキレで踊るなど、変なことをしている動画を最近みた。Twitterのいいところは、リツイート機能があるので調べなくてもその人のフォロワーに届くので楽。Instagramは自分で調べようとしなければ出てこない。なので、Twitterの方が情報が拡散しやすい。
伊藤:投稿する際「高校生に向けて」という発信をしないと文科省の印象を損なってしまう可能性はあるかも。年齢層高めの人から「何をふざけているんだ」という批判があったり。
濱野:その両立難しい。伝えたいのは中高生、内容は専門学校の魅力を知ってもらいたい。多くの人に目に留めてもらいたい。今すぐ正解は出ないが、文科省職員は日々そのようなことを仕事の中で考えている。
伊藤さん
専門学校は学ぶ分野が限られているため、途中で学びたいことと違うなと感じたときにつらい。一つの学校に幅広い学部学科を作ってもいいのかなと思う。
金城:規模が大きい学校だと整備されているが、そうでないと1,2学科にフォーカスしている現状はある。そこは運営側の経営戦略に関わってくるので文科省から指定することは難しいが、専門学校の人たちは世の中のニーズに敏感なので、生の声をあげることで横断できる分野の学科新設に繋がるかもしれない。
<最後に一言>
金城:学校を訪問することはあるが、校長や経営者とやり取りすることが大半。直接話ができる機会は貴重だった。様々なご提案、学生目線での質問を受け止めて施策に生かしたいと思う。
キャッチくんCatchkun
キャリアマップ公式キャラクター。「キャリーちゃん」という双子の兄妹がいる。
種類:リス
身長:25cm
体重:1.5kg
性別:男の子
名前の由来:みんなにいい情報を「catch(=掴む)」
将来の夢 :お菓子職人
甘いものが大好物で、色んなお菓子を作れるように勉強中。特にカラフルで季節ごとに色んなものが登場する和菓子が大好き。冬は 本当は冬眠の季節だけど、花びら餅もうぐいす餅も食べたいので、寒さや眠気と戦いながら 必死に起きています。
勉強し始めたころ、キャリーちゃんにお菓子を作ってプレゼントしたら、「まだまだね」と言われてしまった…。この日から、お菓子づくりへの熱意が湧き上がったとか。
性格 :楽しいことが大好きで好奇心旺盛、いろんなところに出かけます。正義感が強いタイプで、困っている人や悲しんでいる人を放っておけない優しい性格。ただ、猪突猛進でちょっと危なっかしいことも…
好物 :クルミ。良いことがあったときは分けてくれます。
住処 :事務局で育てているドラセナ(観葉植物)にある巣穴。
得意なこと:木登り。高いところのホコリを払ったりもしてくれています。
趣味 :筋トレ(といっても、実はダンベルの代わりになっています…)
チャームポイント:大きなしっぽ
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