2024.06.26

専門学校での学びが、絵本作家という夢につながった

専門学校での学びが、絵本作家という夢につながった
専門学校、高等専門学校で専門性を磨く道を選び、現在その道で活躍しているキャリアリーダーたち。その歩みと今思い描いている未来について取材しました。

在学中にイラストレーター デビューしたものの頓挫 

 小学校のころから美術が得意。高3で進路を迫られたとき、真っ先に美術の道が頭に浮かび、実家から通える広島の穴吹デザイン専門学校に進学しました。
 入学後、授業を通してイラストレーターという職業があることを知り、「この道に進みたい」とさまざまなコンペに応募。ある音楽雑誌のコンペで大賞をいただいたのを機に、その雑誌で連載をもたせてもらうことになり、とんとん拍子でイラストレーターとしてデビューしました。順調な滑り出しに思えましたが、卒業して1年後に雑誌が休刊し、仕事がゼロに。途方に暮れていたとき、専門学校時代の担任の先生に県内の広告デザイン会社を紹介していただき、就職。ジャストタイミングでの声掛けに救われました。
 仕事はとても楽しく、デザインスキルも身につけられました。一時はこの道で生きていくことも考えましたが、どうしてもイラストレーターへの夢が捨てきれず、5年後に上京。イラスト学校に通いながら、出版社に作品を売り込みました。
 そんなある日、転機となる出会いがありました。知り合いが作った絵本を手に取る機会があったのですが、ページをめくるたびにとても心が温かくなるのを感じたんです。
自分もこのような絵本を作りたい…そんな気持ちに突き動かされ、絵本作りに挑戦してみました。
 ほどなくして、作画を担当した絵本がコンペで受賞。絵本作家への道を模索しつつも、なかなかチャンスを得られず、短期派遣の仕事などで生活費を稼ぐ日々がしばらく続きました。
そして2015年、イラスト学校の卒業制作を見て連絡をいただいていた出版社との間で、絵本『たまらんちゃん』の出版が決定、17年に発行されました。実は、たまらんちゃんの着想は発行から遡ること7年前。イラスト学校の授業で発表し、ワークショップで推敲を重ねた思い入れのある作品でした。絵本として形になった時は本当に嬉しかったですね。
 そして、18年に『いもむしパン』、20年に『おにぎりさんきょうだい』を出版。これらの絵本を持って、全国の子どもたちに読み聞かせを行うのが、今のライフワークです。ページをめくるたびに子どもたちが目を輝かせ、笑顔になる。そんな姿を見るのが一番の幸せです。

子どもたちを笑顔にする絵本を描き続けたい

 振り返れば、専門学校で今につながるすべての基礎を得られたと思います。クリエイターになる目標を持った同級生たちと学び合いながら、夢を見つけることができました。卒業して20年以上が経ちましたが、その間も先生方が何かと気にかけてくれたことは、励みにもなり深く感謝しています。
 子どもたちの笑顔を見続けるのが、私の夢であり目標。これからも、子どもたちに楽しんでもらえる絵本を、一生懸命描き続けたいと思います。

編集・ライター/伊藤理子 撮影/刑部友康、内山光
本文はCareerMapLabo Vol.1(2022.10月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

つぼい じゅり

つぼい じゅりJuri Tsuboi

絵本作家

穴吹デザイン専門学校卒業
専門学校在学中よりイラストレーターとして活躍。その後、広告制作会社にてデザイナー・イラストレーターとして勤務後、2012年より絵本作家・イラストレーター・デザイナーとして東京を拠点にフリーランスに。『たまらんちゃん』(金の星社)『いもむしパン』(PHP研究所)などの絵本ほか、紙芝居、雑誌、Webなど多方面で活動。

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