2024.12.19

同級生が大学進学する中、迷わず製菓学校を選択

同級生が大学進学する中、迷わず製菓学校を選択
有名大学や進学校を卒業した後、敢えて専門学校への進学を選び周囲を驚かせた人を取材。
この道を選んだ理由や、今描いている夢などについて伺いました。

幼少期からぶれることのないパティシエへの夢。同級生が大学進学する中、迷わず製菓学校を選択

幼稚園の頃からパティシエになりたいと言い続けてきた

 千葉県の進学校出身の富田さんは現在、パティシエを目指して東京製菓学校で学んでいる。
「パティシエになりたいと思ったのは幼稚園のころ。姉と一緒にべっこう飴を作ったときに、母に『おいしい』と褒められたのが嬉しくて。それ以来ずっと、パティシエになりたいと言い続けてきました」
 小学生のときにはすでにプリンやクッキー、レーズンバターサンドなどが作れるようになり、中学、高校では家族や友人にオリジナルケーキを作るまでに。
「お菓子づくりは全て独学です。母も応援してくれて、小さなころからレシピを見ながら1人で作っていました。幸い、道具は一通りそろっていたので、皆の喜ぶ顔見たさにいろいろなお菓子に挑戦しました」
 高校は、千葉県の進学校である鎌ヶ谷高校に進学。この学校を受験したのは偏差値や勉強内容などではなく、料理研究部の活動が盛んだったためだ。入学後は、ただちに料理研究部に入部し、部活に没頭した。
週3日、放課後に調理室に集まって皆でお菓子や料理を作るなど活動は活発で、さまざまなコンテストでの入賞も多数。そして、地元企業と連携し、地域を盛り上げる商品開発にも積極的に取り組んでいる。
「私が部長を務めていたときには、鎌ヶ谷市名産の梨で作ったお酢に花椒を利かせた『かまなしーす』を開発しました。市場調査から自分たちで行い、皆で試行錯誤しながら1つの商品を創り出す大変さとやりがいを体感し、『食を仕事にする』という夢がよりリアルなものになりました」
 同級生のほぼ全員が大学進学を志す中でも、パティシエへの夢がぶれることはなかった。「先生方も私が料理に打ち込んでいる姿を見ているので、製菓専門学校への進学を応援してくれた」という。

実践的な学びの中夢に近づいていると実感

 数ある製菓学校の中から東京製菓学校を選んだのは、実習時間が多い点と、現場を経験したプロが講師ばかりで社会に出てすぐ活かせる知識、技術が身に付けられると感じたから。
「1年生から洋菓子を学べる点も決め手になりました。他校は1年次に和菓子と洋菓子を学び、2年次にどちらかを選択するところが多いので、2年間洋菓子に専念できる環境に魅力を感じました」
 現在は、洋菓子本科の1年生として、洋菓子の基礎を学んでいる。これまで主に1人で洋菓子作りに臨んできたが、改めてプロから学ぶことで、知識が日々ブラッシュアップされていると感じるという。
「2年生になったら、飴細工やマジパン細工などの授業があるのが楽しみ。自分で考え、デザインしたお菓子を早く作りたいですね」
 今、思い描いている夢は、高校時代から憧れているパティシエ・鈴木文さんのような働き方をすること。
「鈴木さんは、世界を旅していろいろな国のお菓子を作るだけでなく、お菓子一つひとつの文化的背景を理解し、それを伝えることを大切にしています。私も『おいしい』という喜びだけでなく、皆さんの心を豊かにするようなプラスアルファを提供できるパティシエになりたいと思っています」

東京製菓学校

1953年(昭和28年)に国内唯一の製菓技術専門学校として開校。洋菓子・和菓子・パンのジャンルごとに学科を設置し、専門学習を実践している。2年間の総授業時間約2880時間のうち約2400時間が実習という、圧倒的な実習量も特徴。


<Column>

 文部科学省の「学校基本調査」によると、2017年度の専門学校卒業生のうち75.5%が専門分野に関連した仕事に就職し(左図)、72.3%が就職先について「希望と合致している」と回答しています。自身の専門性を考えそれに沿った進路を選択することで、希望する仕事に就ける可能性も高いことがわかります。

編集・ライター/伊藤理子 撮影/刑部友康、内山光
本文はCareerMapLabo Vol.5(2024.1月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

富田 夏帆

富田 夏帆Natsuho Tomita

東京製菓学校
洋菓子本科1年

2004年生まれ、千葉県出身。幼いころからパティシエになるという夢を抱き、千葉県立鎌ヶ谷高校では料理研究部の部長として活躍。卒業後の2023年に東京製菓学校に入学、現在洋菓子本科の1年生として洋菓子作りの基礎を学んでいる。

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