2025.06.23

専門学生101人に聞いた!その仕事を目指した「きっかけ」

専門学生101人に聞いた!その仕事を目指した「きっかけ」
専門学校で学ぶ学生たちは、どんなきっかけでその職業を志すことになったのでしょうか。
親の影響? 幼いころからの夢?憧れの人がいた? 感動的なできごと…?
さまざまな分野で学ぶ101人の専門学生に、その仕事を志すきっかけとなった原体験を聞いてみました。

「感動」や「体験」そして「褒められる」が学びへの原動力に

 アンケート回答から見えてきたのは、まず「ほとんどの学生が、明確な動機を持って専門分野で学ぶことを選択している」ということです。興味関心をもったきっかけについて「特に理由はない、覚えていない」という回答はわずか2.4%。また「人から勧められた」は、たった1.2%に過ぎず、人任せにせず自分で選択したことがわかります。これらは今、至るところで必要性が説かれる「学生の就業観の育成」や「目的意識をもった学業の修得」を体現するものであり、専門学生が持つ大きな強みだと言えます。
 また「感動」や「嬉しかった」という経験は、上のコメントにあるように、多くの人が具体的なエピソードとして記憶しています。他方で「経験格差」といったワードも世間で生まれつつありますが、学生たちの声を拾うと、きっかけは決して特別な経験ではなく、日々の学校や家庭生活の中で醸成されています。

【学生INTERVIEW①】「食戟のソーマ」に出てくるクオリティの高い料理に憧れた

きっかけは…『アニメ』

#Cooking
辻調理師専門学校  
氏原 尊さん

 かつて祖母が小料理屋をしていたことから、料理の仕事に親和性はあったという氏原尊さん。料理を作るのも好きで、小学生の時から、親が不在の時には自分で食事を作っていたものの、明確に料理の道を志したきっかけはアニメ『食戟のソーマ』でした。「料理専門学校の話なんですけど、とにかく出てくる料理のクオリティが高いんです。かっこいい!と思って。もともと、好きなことじゃないと頑張れない性格なので、アニメを見て『自分は料理でやっていこう』と決めて、高校に入ってからもバイトは飲食店でした」。料理専門学校のアニメで料理の道を進むことにきめた氏原さんは、いつか自分の店を持つために、まさに専門学校で勉強中!

身内の影響は大きいが「配信」や「動画」も大きなきっかけに

 次のアンケートでは、「きっかけ」となった経験や出来事に誰が関与しているかについて聞いてみました。
 やはり、親や兄弟姉妹・祖父母や親族などの割合が高く、高校を卒業する18歳、あるいは意思決定をするそれ以前の年齢では、関わる人は限定的です。しかし具体的に「近所のケーキ屋さんのパティシエ」や「ホテルコンシェルジュ」と、具体的に職業名と共に記憶に残る人物がいたり、有名シェフやドラマ、映画、アニメなどエンターテインメントの登場人物などの影響も受けています。また、同じくYouTuberなどのインフルエンサーやVTuberという声も一定数あり、これは特に現在専門学校の生徒たちの中高生時代はすでにコロナ禍であり、授業がない・部活がない・友達と遊べないといった中で、配信などで新たな世界に触れることが日常となっていった結果ではないかと推測されます。コロナ禍が過ぎた今となっても、動画配信は日常のひとつとなり、今後も子どもたちの「経験」のひとつになりそうです。

【学生INTERVIEW②】 即興で作曲をする動画を見て、音楽の奥深さを知って、感動した

きっかけは…「動画配信!」

#Composition
ミュージック系専門学校 
安江翔哉さん

 中学までは卓球少年で、卓球部の部長まで務めた安江翔哉さんが、畑違いな「作曲」の道に進んだのは、「作曲をするところを見せる動画配信を見たことがきっかけでした。
「なんだこれ!?すごいっ!って、びっくりしました。それまでは、たいして音楽にも興味なかったんですが、作曲と、その楽曲の解剖動画を見て、なんて音楽って奥が深くて面白いんだろうって夢中になりました。自分も勉強してみたい!って思ったんです。とはいえ、めちゃくちゃ悩みましたよ。趣味でいいんじゃないかとか。でも、どうしても学びたい気持ちが強かった。広い意味で音楽経験者の多い中、劣等感みたいなものもありましたが、それでも結構やれるな、っていうのも正直な気持ちです」

【学生INTERVIEW③】 ケガと、合気道との出会いを経て、最後に背中を押した上司のひと言

きっかけは…「スポーツ+α」

#Acupuncturists
大阪医専 医療3年生学部 鍼灸学科
小川亮太さん

 小学生で野球ひじと診断されて落ち込んでいた時、理学療法士が身体のリハビリだけでなく、気持ちまで前向きにしてくれたことが、鍼灸師を目指した原体験だと話してくれた小川亮太さん。
「その後、大学で合気道を始めて、体と心の連動にさらに強い興味を持ちました。『いつか、道場と心身のケアができる場所を作りたい』と思いつつ、普通に就活をして就職。仕事は面白かったんですが、将来の夢として上司にそんな話をすると『やると決めてるなら、吸収力が高い若いうちにやったほうが良いよ』と言われて。進学のお金もぎりぎり貯まっていて、そうだ、すぐにやろうって思いました。上司の言葉で、全てが繋がった気がしたんですよね」

【学生INTERVIEW④】 教室に現れた歯科衛生士さんにビビっ! と、まさにひと目惚れ

きっかけは…「歯磨き指導!」

#Dental Hygienist
日本歯科学院専門学校 歯科衛生士学科
和田百菜里さん

 和田百菜里さんの『運命』の歯科衛生士さんは、その日、ユニフォーム姿で小学校の教室に現れたのだという。
「6年生の時、歯みがき指導の授業があって、そこで初めて歯科衛生士さんという仕事を知りました。すごくきれいな優しい人で、歯のイラストをフェルトで手作りしたものを使って、わかりやすく歯と歯みがきについて教えてくれて。なんて清潔感があって、素敵なの…♡と、ほとんどひと目ぼれ。その日からずっと『将来の夢は歯科衛生士』です。母に話したら大賛成してくれたのも大きかったかも」
 一途な夢を叶えたら、デンタルエステの勉強や麻酔の資格取得がしたいと、すでに次のステップアップも考えている。

【学生INTERVIEW⑤】 メタバースの面白さと出会い、VRゲームづくりをめざす

きっかけは…「V Tuber!」

#Game Creator
情報系専門学校
森川裕貴さん

 小学校入学前からゲームに触れていた森川裕貴さん。高校生になり、ゲームを作る課程に興味を持ち始めた頃、好きだったYouTuberがVTuberになり興味がさらに深まった。
「VTuberを見た時、単純にどうなってるんだろう?って思いました。ゲームもオンラインRPGが好きになって。簡単にいうとシームレスな空間の中で、自分だけのキャラクターを作って遊ぶゲーム。メタバースのような場所もあり、ゲームの延長のような中で、実際にコミュニティが形成されることがすごく面白くてハマりました。高校の頃には、アニメーションの音声づくりにも興味があったんですが、興味を突き詰めていくと、やっぱりゲームだと進路を決めました」。

進路決定は半数が高校生だが2割は小学生から決めていた

 最後に、「現在学んでいる分野の学校へ進学することを決めた時期」について質問。高校3年生と2年生が全体の半数を占めていますが、なんと20.5%もの人が、小学生あるいはもっと前から『なりたかった職業』を目指して進路決定をしていることがわかりました。また「きっかけ」についてインタビューをしていくと、感動や驚きなど、心を動かされた原体験が、意思決定につながっています。進路について「まだやりたいことがわからない」と迷っている時期には、きっかけとなりそうなものに触れたり、出会う機会を作ることが大切なのかもしれません。

<アンケートについて>
Careermap登録の専門学生(既卒含む)111,495人にアンケートフォームを送付、有効回答より101人のアンケート結果を抽出(アンケート実施時期2025年1月)

取材・文/編集部・百合草史恵 イラスト/安田友里加

本文はCareerMapLabo Vol.6(2025.3月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

辻 胡桃

辻 胡桃Kurumi Tsuji

株式会社グッドニュース
キャリアマップ編集部

株式会社グッドニュースにて、Careermapを導入いただいた専門学校のカスタマーサクセスとして、先生方や学生への活用定着をめざした取り組みをしています。

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