その歩みと今思い描いている未来について取材しました。
国内外で映像制作について学び、活躍の場を拡大現在はロサンゼルスでハリウッド映画に関わる
専門学校で学んだ映像制作とプログラミングが今に活きる
現在、米ロサンゼルスにあるVFX制作会社で、CGや撮影データなどさまざまな映像データを組み合わせ、合成する「コンポジター」として働いています。
子どものころからディズニー映画が好きで、いつか映画に関わる仕事がしたいと漠然と思っていました。そして、高校の文化祭で初めて自分の手で映像を作ったのを機に、映像制作の仕事に興味を持つように。中でも、空想の世界をリアルに見せるVFX映像制作に惹かれ、自分もこんな映像を作れるようになりたいと、HAL大阪に入学しました。
HALを選んだのは、映像制作だけでなくコンピュータの基礎も修得できるから。当時はプログラミングにも興味を持っていたので、両方学べる環境があることに魅力を感じました。在学中は、与えられた課題通りに映像を作るのではなく、常にプラスアルファの工夫をするよう努めました。徹底的に考えたうえで、リファレンス(参照先)を集めて映像を作り続けた経験は、今の仕事にも大いに役立っています。
異なる文化や価値観の中日々刺激と発見を得られる
卒業後は、日本の制作会社でCGデザイナーとして働いた後、HALの校費留学制度を利用して米サンフランシスコにあるAcademy of Art University(AAU)に留学。AAUでは、コンポジットと呼ばれる映像合成をメインに勉強しました。講師は、ハリウッドの第一線で活躍するアーティストばかり。彼らに直接教わり、質問することができるのは、貴重な経験でした。課題の量も尋常ではありませんでしたが、中身の濃い2年半を過ごすことができました。 そして、現在の勤務先であるLola Visual Effectsに入社して、現在4年目。Lolaは人物の特殊効果に強みを持つ、ハリウッドを代表するスタジオ。そこで私はコンポジターとしてCGや撮影データなどの素材を合成し、色調や解像度などを調整しながら仕上げを行うことで、映像作品の世界観を作り上げています。HAL時代に学んだプログラミング技術を活かし、映像制作のパイプライン(業務効率化の仕組み)に役立つツールを自作することもあります。
実は、海外で働くこと自体に強い思い入れがあったわけではありません。映像制作を通して、いろいろな刺激を受けながら活躍したい、大きなプロジェクトに関わりたいと思うようになり、それが叶うのがハリウッドだったということ。映像技術の進化は目覚ましく、知らないことが次々出てきますが、最新技術を追い続けられる喜びは大きいですね。子どものころからの憧れだったディズニー作品にも関わることができ、やりがいを感じています。
私にとって海外で働く最大の魅力は、異なる文化や価値観などから得られる刺激。日々「こんな考え方があるのか」と新しい発見があり、自身の常識が覆されます。このような環境で働けるのは、アーティストにとって大きなメリットだと思います。
ここには素晴らしいアーティストがたくさんいますが、彼らから貪欲に吸収し、映像制作に関するあらゆる技術を身につけたいですね。クライアントから「こういう映像を作りたい」と要望を受けたとき、たくさんの引き出しからさまざまな提案ができるようなトップアーティストになることが、今の私の目標です。
編集・ライター/伊藤理子 撮影/平山愉
本文はCareerMapLabo Vol.3(2023.4月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。
中村 貴英Takahide Nakamura
Lola Visual Effects(ロサンゼルス)コンポジター
HAL大阪 CG映像学科 卒業
(現・CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース)
映画を通してVFX(特殊視覚効果技術)に興味を持ちHAL大阪に入学。卒業後、日本のポストプロダクション勤務を経て、HALの校費留学制度を活用し米Academy of Art Universityで学ぶ。現在はロサンゼルスにあるLola Visual Effectsにコンポジターとして勤務。Netflixにて配信中の「ストレンジャーシングス」、Disney+で配信中の「オビ=ワン・ケノービ」など40作品以上のVFXに携わった。
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