海外展開でアジア人をより美しくきれいにしたい
その歩みと今思い描いている未来について取材しました。
韓国で美容室を開業して20年。海外展開でアジア人をより美しくきれいにしたい
高2で専門学校の通信課程へ入学、卒業と同時に美容師に
高校卒業後すぐ美容師になり、21歳で美容室「アッシュドゥ」を開店。海外にも積極的に出店し、現在は韓国・ソウルと京都・舞鶴を行ったり来たりする生活を送っています。
母が美容師をしていた影響で、子どものころから漠然と「同じ仕事に就きたい」と考えていました。そして、どうせ美容師になるなら高校卒業と同時に最短でなろう!と決め、高校2年生の時に京都理容美容専修学校の通信課程に入学しました。
この学校を選んだのは、通信課程が充実していたから。毎月レポートと課題の提出があり、夏休み期間にはスクーリングで実技などを学ぶという内容。高校に通いながらでも、無理なく技術と専門的な知識を習得することができました。
卒業後は京都の美容室に就職。その店で「誰よりも早く出勤し、誰よりも遅く退社する」生活を続けスキルを磨き、21歳で地元の舞鶴に自分の店を開店。20代のうちに神戸の三田と大阪の梅田にも出店しました。
実は当時は、海外への進出までは考えていませんでした。きっかけは、30歳の時にスタッフの慰安旅行で韓国のソウルに行ったこと。当時の韓国は今のような美容先進国ではなく、街ゆく女性もみな地味な印象。「きれいに髪をスタイリングすれば、もっと可愛くなれるのに。美容のプロとして何かできることはないだろうか」と思ったんです。
帰国後もその思いが消えず、ソウルに出店しようと決意。ただ、安易に日本のスタイルを持って行っても、受け入れられないと思いました。そこで行ったのは、「街の雰囲気を感じ取る」こと。毎月のようにソウルに通い、何をするでもなく街の中に身を置き、肌感覚でこの街のニーズをつかみ取ろうと努めました。
そうして少しずつイメージを固め、約4年後の2003年に1号店を出店。しかし、全くお客様が集まりませんでした。理由がわからず、ネット検索しところ、「わざわざ日本から来たお店なのにこんなに安いなんておかしい」とバッシングされていたんです。現地の美容室の相場に合わせて、日本よりもかなり低く料金を設定したことが、逆に不信感につながっていたことがわかりました。
そこで、日本と同水準に料金を引き上げてみたところ、逆に技術力に期待するお客様が一気に押し寄せ大繁盛。何年も現地に通い、ニーズを見極めたつもりでしたが、料金だけは読み間違えましたね。以来、20年が経ちますが、多くの韓国人のお客様が通い続けてくださっています。
「誰もしていないこと」にこそ挑戦し続けたい
初めに韓国進出を決めたときは、周りに大反対されました。当時、韓国に日本人経営の美容室はなかったからです。でも、前例のない国で成功できたら、きっと他の国にも容易に出ていけるはず。ハードルは高くても頑張り抜こうと腹を決めました。
実際、アメリカに2店を出店し、韓国でもソウルに2店、釜山に1店を出店、いずれも軌道に乗せることができました。現在は、ソウル1店と舞鶴のみですが、経営不振で畳んだわけではなく、スタッフ独立の際に譲渡したり売却したりした結果。国内店舗ではいずれも「アッシュドゥ」の名前を引き継いでくれています。
55歳になった今も、チャレンジを続けています。たとえ成功しても、同じ場所に留まりたくない、誰もしていないことに挑戦したいとの思いが強いんです。今後は美容ビジネスを幅広く手掛け、アジア人をもっと美しくしたい。海外も、新たにマレーシアなどへの出店を計画中です。これからも高い目標に向かって走り続ける人生を送りたいですね。
編集・ライター/伊藤理子 撮影/佐伯信博、内山光
本文はCareerMapLabo Vol.4(2023.8月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。
高橋 和也Kazuya Takahashi
「アッシュドゥジャパン」オーナー
京都理容美容専修学校卒業
1967年生まれ。高校に通いながら2年次に京都理容美容専修学校の通信課程に入学し、高校と同時に卒業。京都府内の美容室に就職し、美容師として活躍。21歳で独立し、地元である京都・舞鶴に「アッシュドゥ」をオープン。その後、兵庫・三田、大阪・梅田にも店舗展開。2003年に韓国・明洞に「アッシュドゥソウル」をオープンしたのを皮切りに、米ビバリーヒルズやハワイでも店舗を展開(後に売却)。現在はソウルと舞鶴の2拠点生活を送る。近くマレーシアにも新規出店予定。
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