2025.06.23

職業観を育成するための場として進化し続けるキッザニア東京

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職業観を育成するための場として進化し続けるキッザニア東京
3歳から15歳までのこどもが、職業体験できるテーマパーク「キッザニア」。
職業観を育成するのに幼いころから楽しみながら働いてみることはどんな影響があるのでしょうか。
代表取締役副社長を務める宮本美佐氏に話をうかがいました。

コンセプトは、楽しみながら学ぶ「エデュテインメント」

 キッザニアは、3歳から15歳までのこどもたちが職業・社会体験を通じて、社会の仕組みを学ぶことができる”こどもが主役の街“だ。キッザニアでは楽しさの中に学びや気づきがあると捉え、こどもたちにまずはキッザニアでの体験を楽しんでもらおうと、「エデュテインメント(学び+楽しさ)」をコンセプトに掲げている。ちなみに幼少期における職業体験を通じて、自己肯定感や社会性を育むことも目指しているという。
「私たちはエデュテインメントでこどもたちの生きる力を育むことを事業ミッションとしています」と笑顔で話すのは代表取締役副社長の宮本美佐氏。
 53社のさまざまな業種・業界の企業と協力し、リアルな職業体験を提供しており、施設ではさまざまなユニフォームに身を包んだこどもたちが真剣なまなざしで職業体験をしていた。その表情はイキイキとしていて誇らしげにも見える。
 2026年で20周年を迎えるキッザニア東京。時代の変化とともに職業体験の中身は変わったのか質問すると、
「近年のデジタル化やコロナ禍を受け、キッザニアもオンライン体験を導入。いつでもどこでも、空き時間にチャレンジできる『キッザニア オンラインカレッジ』では、ファンドマネジャーやAIエバンジェリストの仕事が体験できます。キッザニアの施設の体験では、DXエンジニア、動画クリエイター、ゲームクリエイターなど、最先端の技術を取り入れた体験ができるようになりました。リアルな施設での体験とオンラインのハイブリッド運営により、こどもたちはより幅広い学びの機会を得られるようになっています」と宮本氏は話してくれた。
 2006年、日本に初上陸したキッザニア東京。もともとはメキシコにあったこども向けの職業体験型テーマパークを創業者の住谷栄之資氏が見て感銘を受けたことが日本に持ってくるきっかけだったという。定年を迎えるまで株式会社WDIに勤務した住谷氏は、取締役として主に外食事業の経営に参画していた。「ケンタッキーフライドチキン」や「ハードロックカフェ」など、有名飲食店を海外から日本に持ってきた人物である。住谷氏は経営で培ったノウハウを生かして、日本国内におけるキッザニアのライセンスを取得した。
「当時、日本では若者のニートが社会課題となっていました。その課題意識を持っていたところにメキシコに面白い施設があると知り、お孫さん2人を連れてメキシコのキッザニアを訪れたそうです。メキシコですので、職業体験はスペイン語です。お孫さん2人はスペイン語がわからなくてもすごく楽しそうに体験していたそうで、それを見て日本に持ってくることを決めたと聞いています」と話す宮本氏。2006年に東京でフランチャイズ第一号がオープンし、09年には「キッザニア甲子園」、22年には「キッザニア福岡」と順調に国内拠点を増やしている。

没入型の体験を通じてキャリア観の形成をサポート

 「キッザニアでは保護者がお子さまの体験を手伝わないようにしていただいています。どれだけ小さなお子さまでも自分で体験の受付をして、体験を完結させなければなりません。お子さまによっては保護者から離れただけで泣いてしまうケースも。でもわれわれのスーパーバイザー(キッザニアのスタッフ)が丁寧に寄り添うので最後までできるのですが、お子さまはやり遂げたことによって充実した顔つきになります。そういう表情を見るたび、われわれも心がキュンとしてしまいます。具体的な職業でなくても、例えば人の役に立つのが好きとか、手を動かすのが好きとか、デザインするのが好きとか、どんなものでもいいので自分の軸になるものを見つけてもらえるとうれしいです」(宮本氏)
 今後、キッザニアではパートナーの領域を増やし、グローバル体験ができることも目指していくという。学校からの要請があれば、連携して職業体験の授業を支援したいと話してくれた。


編集・ライター/松葉紀子(spiralworks) 撮影/掛川雅也 イラスト/村上広恵(トロッコスタジオ)
本文はCareerMapLabo Vol.6(2025.3月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

宮本 美佐

宮本 美佐Misa Miyamoto

KCJ GROUP株式会社
代表取締役副社長
マーケティング本部長

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