2024.08.21

デジタル変革による最先端の学びを追求

デジタル変革による最先端の学びを追求
2019年4月に教育機会確保法の趣旨を鑑みた新しいコンセプトのスクール「プログレッシブスクール」として開校したN中等部。
全国の中学生に、ネットを活用した新しい学びの場を提供している。

N中等部
現在、ネットコースでは763名、通学コースでは460名の生徒が全国で学ぶ (2022年4月時点) 。総合力を身につけるために学ぶのは、教養・思考力・実践力の3つ。21世紀型スキル学習、プログラミング、基礎学習(国・数・英)など多彩な学習コンテンツがあり、一人ひとりが自分のペースで学び、目標を見つけ、主体的に行動することで進路やキャリアづくりに繋げる。
※N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校ではありません。ご自身の中学校に在籍したままN中等部で学びます。

倉本 龍 Ryo Kuramoto
N中等部 運営部
2019年入社。高校通学コースのキャンパス長、カリキュラムマネジメント、教材制作部門などを経て、2021年9月からN中等部の事業運営を担う。

折原 ダビデ竜 Davideryu Orihara
N中等部 共同スクールプレジデント 東京理科大学大学院 理工学研究科情報科学専攻 修了。エンジニアとしてドワンゴ入社、ニコニコ生放送開発チームにてシステム開発に携わる。その後、技術コミュニケーション室にてエンジニアのインターンシップの受け入れに携わり、現在、教育事業本部にてプログラミング教育を牽引する傍ら現職を担う。

ネットを使うことで学びのあり方を大きく変える

 N中等部にはカリキュラムやタイムテーブルはあるものの、学年ごとに身につけるべき力が決まっているわけではない。その理由を、運営部部長である倉本さんはこう話す。「生徒の学年で学ぶ内容やレベルを区切ることはせず、用意した選択肢の中から自分の好きなものや必要だと思うものを選ぶことができます」話の通り、自由選択のカリキュラムは豊富にあり、メンターと呼ばれる教職員が中心となって生徒一人ひとりをサポートする。
 生徒はコミュニケーションツール「Slack(スラック)」や、グラフィックデザインや画像編集などができるクラウドサービス「Adobe Creative Cloud(アドビ クリエイティブ クラウド)」など、多くの企業や専門家が使うICTツールを無料で使うことができる。特徴的なのは、多くの場面でSlackが使われていることだろう。生徒たちは実際の教室に入るようにSlackのワークスペースにアクセスする。教職員が連絡事項を投稿することもあれば、授業内でSlackを活用することもある。プログラミングチャンネルでは、生徒自身が制作した3Dグラフィックスや3Dアニメーションが毎日のようにシェアされる。N中等部の共同スクールプレジデントで、プログラミング講師も担う折原さんは、「生徒には『自分の作品をSlackに投稿して、どんどん自慢してください』と伝えています。それを他の生徒が見ることで、『こんなことができるんだ。自分もやってみよう』と刺激を受けてくれるといいなと思っています」と活用の工夫とねらいを語る。
 教職員に対しては、プログラミング講師による研修が年2〜3回実施される。1回の研修には50人以上の教職員が参加し、業務を効率化するためのプログラミングを学ぶ。例えば、特定のメールに対する複数の作業工程を自動化したり、届いたメールの内容に応じて自動で自身のSlackに通知ができるようになる。教職員からは「独学だと難しいけれど、体系的に学ぶ機会があって理解が深まった」という声が届くと言う。折原さんは、自動化を進めることができた要因をこう話す。「普段の業務を紙で管理していると、自動化することはできません。N中等部ではすでに紙ではなくデジタルを使うベースができていたので、そこからICTツールやプログラミングを使うことで自動化ができたんです」研修は3年前から実施されており、受講後に効率化や自動化ができた業務は、年間100件ほどに上る。特に成果があった取り組みについては、教職員の全体会議の場で表彰されることもある。
 教職員も、生徒とともにICTツールを使い、ともに学ぶ。ネットを使うことで学びやコミュニケーションの当たり前を覆したN中等は、世界のあらゆる分野のデジタル化を牽引する人材を輩出していくだろう。


通学コース・大宮キャンパス
阿部 詩さん 
Uta Abe
プロジェクト学習は、自分の関心のあるテーマを決めて取り組みます。私がやっているのは、動物の殺処分問題への対策。動物が幸せに生きるためにできることを考え、自分の得意な絵を描くことを活かして、現状の解説漫画を作っています。

ネットコース
長田深玖さん 
Miku Osada
「やってみよう!」と思ったことは何でもできる環境だと思って入学を決めました。好きな授業はプログラミング。今は、入学してから学んだプログラミングを使って楽曲制作をしたり、ITパスポートの試験に向けて勉強をしたりしています。


オンラインを中心に仲間と活動する「ネット部活・同好会」
N高等学校・S高等学校の「ネット部活」に一部参加することができる。活動は主にオンライン。「eスポーツ部」「美術部」「起業部」「投資部」「政治部」「研究部」「音楽部」「コンピュータ部」「クイズ研究会」「人狼部」「囲碁部」「将棋部」などのネット部活があり、生徒たちが主体的に活動する。部活によっては、各分野の専門家から直接学ぶことも可能だ。主にSlackを使って趣味のあう仲間と交流する「同好会」もあり、生徒が希望すればN高等学校・S高等学校の生徒とも交流ができる。

生徒の自発的な行動を促すメンターとの「コーチング」を毎月実施している
毎月行われるのが、メンターと生徒が1対1で対話するコーチング。生徒が自分を知り、自ら目標を立て、実現に向けて行動できるようになることを目的としている。大学進学を踏まえた進路相談や生活習慣の改善、周囲とのコミュニケーション方法など、テーマは生徒によってさまざまだ。メンターは、生徒に対して「今何が必要ですか?」「いつまでにできると望ましいですか?」などと質問し、目標設定から実現までをサポートする。

「N予備校」で、自分に合ったペースで繰り返し学ぶ
オリジナル学習アプリ「N予備校」では、小学5年生レベルから難関大学の受験対策まで幅広いレベルの映像授業のほか、プログラミングやデザインなどを学べるコンテンツも用意されている。理解度が確認できる機能もあり、各自が自分に合ったレベルとスピードで学習に取り組める。わからないことがある場合は、Slack内で生徒同士が教え合ったり、大学生がメインとなっているティーチング・アシスタント(TA)が生徒の学習をサポートしてくれる。

全キャンパス合同で実施されるプレゼンテーション大会「N-meeting」
新カリキュラム「ミライ」内で2022年1月に行われた「N-meeting」では、立候補した生徒が3分間のプレゼンを行う。事前にメンターとのリハーサルを行って当日を迎える。第1回のテーマは、「自分の推しを布教したい」。アニメや漫画、ゲーム、YouTubeなど、自分のお気に入りをスライドにまとめ、その魅力を聞き手に伝える。発表は全キャンパス内で配信され、オンラインを含めると500人もの聴衆がいることもある。

編集/編集部  ライター/建石尚子
本文はCareerMapLabo Vol.2(2023.1月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

倉本  龍

倉本 龍Ryo Kuramoto

N中等部 運営部

2019年入社。高校通学コースのキャンパス長、カリキュラムマネジメント、教材制作部門などを経て、2021年9月からN中等部の事業運営を担う。

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