2026.06.30

情報技術の専門的な学びを深め「IT中核人材」を目指す

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情報技術の専門的な学びを深め「IT中核人材」を目指す
高校と専門学校の教員が連携し、高校生の進路選択の幅を広げる「高専接続授業」。
IT人材育成を目指す取り組みの経緯とその内容について担当教員に聞いた。

<今回の主役校:京都府立京都すばる高等学校>

1985年に京都府立商業高校として開校し、2003年に学科改編で商業と情報に関する専門高校に生まれ変わった。起業家精神を育む「起業創造科」、企画力やプレゼン力の習得を目指す「企画科」、情報に関する専門技術を学ぶ「情報科学科」の3学科体制

京都府立京都すばる高等学校 
情報科学科 学科長
尾上妥理

京都市出身。前任校での勤務を経て、2005年4月に同校へ着任し、今年20年目を迎える。情報技術を主体的に活用し、課題を発見・解決しながら、社会の発展に貢献できる情報活用能力と倫理観を備えた人材の育成に努めている。

1・2年で基礎を習得し3年で興味関心分野を深める

 職業系専門高校の京都すばる高等学校。起業創造科、企画科、情報科学科の3学科体制で、約800名の生徒が学んでいる。  
 その中、情報に関する専門技術を学ぶ「情報科学科」では未来のIT中核人材の育成を目的に、京都コンピュータ学院(以下KCG)と連携した教育事業「高専連携プログラム」を展開している。  
 「情報科学科では、企業や高等教育機関などその道のプロフェッショナルと連携した高度な学びの提供に注力しています。その一環として、主にプログラミング分野で以前からサポートいただいていたKCGと連携し、IT専門職育成を加速化する5年間の高専連携プログラムを開発しました。2022年4月入学生からスタートしましたが、その1期生が2025年4月にKCGに入学し学びを深めています」(情報科学科・尾上妥理先生)  
 このプログラムでは、京都すばる高校での3年間でKCGの教員から本格的な情報分野の授業を受講し、KCGでの専門的な授業を先取りして学ぶ。1年生でC言語を使いプログラミングの基礎を学習し、2年生ではJava言語を習得。そして3年生では、「情報科学・ラボ」「サイバーセキュリティ・ラボ」「情報メディア・ラボ」「コミュニケーション・ラボ」の4つの中から興味・関心のあるテーマのラボを選び、より高度な情報に関する研究を深める。授業内容自体は既存授業でやっていたことから大きく変えてはいないが、従来の座学中心からより実践的な内容を増やし、知識や技術だけでなく応用力や表現力の習得も目指している。  
 これらの必修科目のほか、希望者を対象に夏休み・春休みにKCG校舎での短期集中講座を開催したりワークショップを実施したりするなど、両校が連携してさまざまな学びの場を提供している。  
 「情報科学科では3年間で専門的な学びを深めますが、進学先である大学や専門学校では他の学生とともに基礎をやり直さねばならない点が課題となっていました。この一貫プログラムでは在学中にKCGの学習を先取りできるので、KCG入学後すぐに高度な学習に進むことができます。卒業後の選択肢が増えたことで、生徒たちの視野も広がっていると感じます」(情報科学科・福江努先生)

ゲームを用いた実践的なプログラミング授業も

 この日行われた2年生の授業は、プログラミングによる重力四目並べのゲーム作り。アナログゲームを使いながら皆で考察し、グループごとにプログラミングに落とし込む。KCGと京都すばる高校の先生方が生徒一人ひとりに声をかけ、話し込んだり積極的に意見交換したりしていた。  
 KCGの前納一希先生は、生徒ともすでに顔なじみだ。京都すばる高校の福江先生は「前納先生の存在が生徒にとっては新鮮で、常に新しい風を吹き込んでくれる。何を質問しても分かりやすく発展的なアドバイスがもらえるので、頼りにしている生徒は多い」と話す。  
 「生徒からは学習内容や進路などさまざまな質問を受けますが、中には『自分のアイデアを形にしたい』と起業の相談をしてくる生徒もいます。この高専連携プログラムの目的はIT中核人材の育成であり、その中でKCGを進学先に選んでくれる生徒が増えれば嬉しいですが、未来ある高校生たちをサポートできることが楽しく、大きなやりがいになっています」(KCG・前納一希先生)

専門学校では1年次から高度な授業の選択が可能

 2025年に京都すばる高校を卒業した「高専連携プログラム1期生」の進路は大学・短大・専門学校への進学、IT分野への就職など多岐にわたるが、本プログラムを活用しKCGへの進学を選んだ学生も。ほぼ全員が1年次の基礎的な授業をスキップし、入学直後から2年生対象の授業を受講している。「上級生向けのレベルの高い授業にも付いていけると実感したことで、京都すばる高校での3年間の学びに自信を持った学生が多いと感じる」(前納先生)という。  
 この1期生がKCGを卒業し、社会に出るのは最短で2027年3月。「IT中核人材の育成」という本プログラムの成果が見えるのはこれからだ。  
 「1期生が社会で活躍するまでしっかり見届け、得られた知見を2期生、3期生へとつなげることが重要。KCGと協働しながら新たな授業を開発するなど、プログラムのブラッシュアップにも注力し、着実に成果につなげていきたいと考えています」(尾上先生)

グループにわかれ、重力四目並べのゲーム作りを行う。生徒からは「実際に手を動かしながらプログラミングを学べるので面白い」「KCGの先生にも質問・相談しやすいので理解が深まる」との声が聞かれた。2月に鳥取県立鳥取湖陵高等学校とともに行った重力四目並べの競技会では、全22チームがそれぞれ作成したプログラミングで試合を行い、上位3チームを京都すばる高校が独占した。

【高校生に聞いてみた!体験談】

京都すばる高等学校 情報科学科2年生 情報処理部 部長
宮本優聖さん

「京都すばる高校の情報科学科は、情報技術を専門に学べると知り、面白そうだと思い入学しました。高専連携プログラムの授業では、普段の授業とは違う、より深い学びが得られるのがいいですね。卒業後の進路はまだ決めていませんが、KCGへの進学も検討しています。もし進学したら、高校3年間で学んだ技術をより発展させたり、新しい技術を身につけたりして、将来に役立てたいと考えています」

京都すばる高等学校 情報科学科2年生 情報処理部 副部長
伊原穂実さん

「情報科学科は、1年でITパスポート試験、2年で基本情報技術者試験を受験するなど、資格取得できる点に惹かれて選びました。この連携プログラムでは、KCGの先生からより発展的な学びを得ることができ、質問もしやすい点が魅力だと思います。卒業後は、現時点では大学進学を考えていますが、本プログラムでの学びを活かして情報系に進み、ITエンジニアの仕事に就ければいいなと考えています」

【専門学校コメント】

技術を楽しく学び活用できるIT人材を育成したい

 京都すばる高校との連携は、未来のIT中核人材をもっと増やしたいとの思いから。我々専門学校の視点で学びをサポートすることで、より高度な知識を身につけたうえで進路を選択することが可能です。そして本学であれば、すぐに高度な学びの機会を得ることができます。  
 昨年1期生が入学しましたが、情報技術に関する知識が突出していて、入学当初は完全に「無双状態」。同級生にいい刺激を与えてくれる頼もしい存在となっています。学生からは「高校での学びをベースに、KCGでより自由にやりたいことにチャレンジできるようになり、とても楽しい」との言葉をもらいましたが、「楽しく学び、楽しく活用する」は私が目指していることでもあります。京都すばる高校の皆さんには本プログラムを通じて楽しく技術を習得し、将来IT技術者としてイキイキと活躍してほしいと願っています。

広報部部長 コンピュータサイエンス学系
主任教員
前納一希

龍谷大学文学部卒業。京都コンピュータ学院ネットワーク学科卒業。KCGではプロジェクト演習やPHP実習、Python実習などを担当。

京都コンピュータ学院

1963年に創立された、日本で最初のコンピュータ教育機関。これまでに高度な情報技術を身につけたIT人材を5万人以上輩出している。グループ校に京都情報大学院大学、京都自動車専門学校などがある。

取材・文/伊藤理子 撮影/かんばやしちあき
本文はCareerMapLabo Vol.7(2026.3月発行)内の掲載記事です。記載されている内容は掲載当時のものです。

尾上 妥理

尾上 妥理Tadasato Onoe

京都府立京都すばる高等学校 
情報科学科 学科長

京都市出身。前任校での勤務を経て、2005年4月に同校へ着任し、今年20年目を迎える。情報技術を主体的に活用し、課題を発見・解決しながら、社会の発展に貢献できる情報活用能力と倫理観を備えた人材の育成に努めている。

前納 一希

前納 一希Kazuki Zennou

京都コンピュータ学院
広報部部長 コンピュータサイエンス学系
主任教員

龍谷大学文学部卒業。京都コンピュータ学院ネットワーク学科卒業。KCGではプロジェクト演習やPHP実習、Python実習などを担当。

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